相続税における物納について②

3.上場株式を物納する場合のメリット

 物納した財産は、相続が開始した日(死亡した日)の相続税評価額が納税額となります。そのために、10か月後の申告期限までに上場株式等の時価が大きく下落した場合には物納による納税が有利になります。

 

【事 例】

 相続開始日の相続税評価額:1,000円(1株)の上場株式等10,000株(1,000万円)を相続の場合で10か月後900円(1株)に下落・・・10,000株(900万円)

 

金銭納付する際には、手数料や売却益に対して20.315%の所得税や住民税がかかる為に、下落した株価に手数料や税金を差し引いた額が納税額になる。

 

物納であれば相続開始日の相続税評価額:1,000万円分の納税が可能になる。

 

4.物納を検討する場合の注意点

 物納は、金銭で一括納付することも、延納による分割払いも出来ない部分に対して認められます。この金銭納付が困難かどうかは、遺産を相続した相続人ごとに判定されるので、遺産に多くの現預金があったとしても分割方法を工夫することで物納を選択することも可能となります。

 

【事 例】

相続人:妻、子

相続財産:現預金、不動産、株式

 

妻が現預金、子が不動産や株式を相続することで、子が物納をすることができる可能性がある。

 

 物納するには、物納財産の要件だけではなく、申請書や期限等の要件もああります。税務署や税理士等の専門家に事前に相談するのがよいと思います。

 

5.不動産の物納は事前準備が大切

 土地・建物の物納を申請しようとしても受付できないケースがあります。

たとえば、「抵当権の設定がある」「隣地との境界が明確でない」「係争中」などの場合です。

 

物納を検討する場合は、下記の点を事前に整備しておくとよいでしょう。

・隣地との境界を確定して、境界確認書を取り交わす。

・賃貸借契約書がない場合は、賃貸借契約を締結する。

・借地権者と係争中の場合は解決する。

・地代や家賃が周辺相場と比較して相当に低い場合は賃料改定する。

 

相続に関しては、いろいろな知識が必要です。

信頼できる専門家に事前に相談をしておくとよいでしょう。

当事務所では提携している税理士もいますので、お気軽にお問合せ下さい。